採用計画が固まり、求める人材像と仕事内容が整理できたら、いよいよ募集・求人のステップです。ここで最初に押さえておきたいのは、「候補者が今どこにいるか」によって、その後の在留資格の手続きとリードタイムが根本的に変わるという点です。
外国人採用には大きく二つのルートがあります。すでに日本国内に在留している方を採用するルートと、海外から招へいするルートです。どちらのルートをたどるかによって、必要な申請の種類と所要期間が異なります。募集を始める前にこの違いを理解しておくことが、採用スケジュールを現実的に組み立てるうえで不可欠です。
なお、このステップは「外国人採用の流れ」全体の STEP 2 にあたります。採用プロセス全体の概要は外国人採用の流れをご覧ください。
2つのルートの違い ― 手続きとリードタイム
外国人採用における二つのルートを整理すると、次のようになります。
ルート①:国内採用(すでに日本にいる方) 対象者がすでに何らかの在留資格で日本に在留している場合です。現在の在留資格がそのまま就労を認めている場合は、念のため就労資格証明申請を出したりしますが、比較的スムーズに採用手続きを進められます。就労が認められていない在留資格(留学・家族滞在など)の場合は、在留資格変更許可申請が必要になります。変更申請の標準処理期間はおおむね1〜2ヶ月とされています。
ルート②:海外採用(海外から招へい) 対象者が現在、日本以外の国にいる場合です。採用企業または代理人が日本国内の地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行い、証明書が交付されたのち、候補者が現地の日本大使館・総領事館でビザを取得して入国するという流れになります。認定証明書の標準処理期間はおおむね1〜3ヶ月とされており、その後のビザ取得・入国準備の期間も加わるため、国内採用と比べてリードタイムが長くなる傾向があります。
採用計画を立てる際は、このリードタイムの差を織り込んでスケジュールを設計することが重要です。
国内採用の手続き ― 在留資格変更を中心に
国内在住の外国人を採用する場合、まず候補者の現在の在留資格が「就労可能かどうか」を確認します。在留カードには「就労制限の有無」が記載されており、就労が認められている資格(例:永住者・定住者・日本人の配偶者など)であれば、特に制限はありません。
一方、留学や家族滞在など就労を主たる目的としない在留資格で在留している方を正社員として採用する場合は、在留資格変更許可申請が必要です(出入国在留管理庁 在留資格変更許可申請)。変更が許可されるかどうかは、採用予定の職務内容と申請する在留資格の要件が合致しているかどうかによります。そのため、内定を出す前の段階で仕事内容と在留資格の適合性を確認しておくことが望ましいといえます。
海外採用の手続き ― 在留資格認定証明書の取得
海外から外国人を招へいする場合、日本側の手続きとして在留資格認定証明書(COE: Certificate of Eligibility)の取得が起点になります(出入国在留管理庁 在留資格認定証明書交付申請)。
申請は、受入れ機関の担当者や、行政書士・弁護士などの取次者が、候補者の就労予定地または受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理局に対して行います。申請は本人が日本にいなくても進められる点が、国内採用との大きな違いです。
証明書が交付されたら、候補者が自国の日本大使館または総領事館でビザを取得し、来日します。入国後は、証明書に記載された在留資格が付与されます。採用決定から実際に業務を開始するまでには3〜4ヶ月の期間を要する場合がありますので、早めの申請準備が重要です。
求人チャネルの選び方
外国人材の求人にあたって活用できる主なチャネルは以下のとおりです。
- 自社求人媒体・採用サイト:自社のウェブサイトや求人ページを多言語で掲載することで、国内外の候補者にアプローチできます。特にスキルや職務内容が明確な場合に有効です。
- 社員紹介(リファラル採用):在籍している外国人社員や、日本語・外国語双方に通じる社員のネットワークを活かした紹介採用です。候補者の人となりを事前に把握しやすいという利点があります。
- 人材紹介(職業紹介事業者):外国人材に特化した人材紹介会社を活用するルートです。国内・海外の両方に対応した紹介会社もあります。なお、有料職業紹介事業を行うには職業安定法に基づく厚生労働大臣の許可が必要です。利用の際は、有料職業紹介事業の許可を受けた事業者かどうかを確認することが望ましいといえます。
チャネルの選択は、採用する職種、候補者が在日かどうか、採用にかけられる時間軸などを踏まえて判断することになります。弊所でも、ご状況に応じた外国人材紹介サービスのご相談をお受けしています。
応募者の在留資格と就労可否の確認
募集を開始すると、さまざまな在留資格を持つ方から応募が来ることがあります。選考を進める前に、応募者の現在の在留資格と就労の可否を確認することが欠かせません。
確認したい主なポイントは以下のとおりです。
- 現在の在留資格の種類:どのカテゴリーの在留資格か(在留カードで確認)
- 在留期限:有効な在留期間内かどうか
- 資格外活動許可の有無:留学や家族滞在の在留資格を持つ方は原則として就労できませんが、出入国在留管理庁の資格外活動許可を受けている場合に限り、週28時間以内(長期休業期間中は1日8時間以内)のアルバイト等の就労が認められます。ただし、この許可は限られた範囲内での就労を認めるものであり、正社員としての雇用に適用できるものではありません。
不法就労となるケースを防ぐためにも、採用の早い段階で在留資格の確認を行うことが重要です。在留カードの真偽確認については、出入国在留管理庁が提供する在留カード等番号失効情報照会サービスを活用することもできます。
📋 在留資格の確認に不安がある場合は
応募者の在留資格が採用予定の職務に適合しているかどうかは、在留カードの記載だけでは判断が難しい場合もあります。まずはお気軽にご相談ください。
おわりに
外国人の募集・求人ステップでは、「候補者が日本にいるか、海外にいるか」という一点が、その後の手続きの流れとリードタイムを大きく左右します。募集を始める前にルートを明確にし、必要な申請の準備に早めに着手することが、採用を成功に導くうえで重要です。
次のステップ(STEP 3)では、選考・面接において在留資格の観点から確認すべきことを整理します。採用プロセス全体については外国人採用の流れ、また外国人採用を考えはじめた背景については外国人採用はビザ申請の前から始まるもあわせてご参照ください。
🧭 外国人材の採用をお考えですか?
弊所では、在留資格の確認から申請手続きのサポートまで、外国人採用に関わる一連のプロセスをお手伝いしています。外国人材紹介サービスの詳細や、受け入れ可否のセルフチェックもご活用ください。
