外国人採用は、採用計画から入社後の定着支援まで、ひとつの流れでつながっています。在留資格の手続きがどこに位置するのかも含め、はじめての企業が押さえておきたい全体像を、実務の視点でステップごとに解説します。

前回の記事では、外国人採用は「ビザ申請」から始まるものではなく、採用計画を考え始めた時点から始まっているというお話をしました(外国人採用は、ビザ申請の前から始まっています)。
では、実際の採用は、どのような流れで進んでいくのでしょうか。
ここでは、はじめて外国人を採用する企業の方に向けて、採用計画から入社後の定着支援までの全体像を、ひとつの流れとして整理します。在留資格の手続きが、どの段階で関わってくるのかも合わせて見ていきましょう。

最初のステップは、採用活動そのものではなく、「なぜ採用するのか」「どのような仕事を任せるのか」を整理することです。
任せたい仕事の内容、求めたい知識や経験、雇用の条件。こうした点が整理されていると、この後のすべての手続きが進めやすくなります。前回お伝えしたとおり、外国人採用では「どこの国の人を採用するか」よりも先に、「どのような仕事をお願いするのか」を明確にすることが出発点になります。
📋 採用計画の段階からのご相談も承ります
弊所では、「どのような人材に、どのような在留資格が該当するか」といった事前のコンサルティングを承っております。ご相談の際は、会社の定款、登記簿謄本、会社案内(パンフレット)、直近の決算、組織図、職員数をお知らせいただくと、より具体的なご案内が可能です。まずはお気軽にご相談ください。
採用計画が固まったら、募集を始めます。
外国人の採用には、すでに日本に住んでいる方を採用する場合と、海外から招へいする場合があります。どちらを想定するかによって、その後の在留資格の手続きや必要な期間が変わってきます。自社の求人媒体や社員からの紹介(リファラル採用)のほか、専門の人材紹介を活用する方法もあります。
選考では、スキルや人柄に加えて、「任せたい仕事の内容が、在留資格の観点から無理のないものか」という視点も大切になります。
たとえば、学歴や職歴と仕事内容の関係は、在留資格によっては重要な確認事項になります。選考の段階で仕事内容と候補者の経歴を丁寧にすり合わせておくと、後の在留資格の検討がスムーズになります。
採用したい人物像が見えてきたら、その仕事内容に合った在留資格を検討します。
日本の在留資格は活動内容に応じて定められており、「就労ビザ」という単一の制度があるわけではありません。技術・人文知識・国際業務、特定技能など、仕事内容や雇用形態に応じて、適切な在留資格を見極めていきます。それぞれの在留資格の詳細は、今後の記事で個別にご紹介していきます。
採用する在留資格の方向性が決まったら、申請の準備に進みます。
海外から招へいする場合は在留資格認定証明書の交付申請、すでに日本にいる方を別の在留資格で採用する場合は在留資格変更許可申請が必要になります。また、転職などにより在留資格はそのままで新たな会社が受け入れる場合には、その職務が現在の在留資格で認められるかを確認する手段として、就労資格証明書の交付申請を任意で行うこともできます。このように、状況に応じた手続きが必要になります。
なお、すでに就労している方が転職し、所属する会社が変わった場合には、ご本人による出入国在留管理庁への届出(契約機関に関する届出)が、原則として変更が生じた日から14日以内に必要となります。申請書類には、仕事内容・雇用条件・受入れ体制といった採用計画の内容が反映されます。申請書類は、いわば採用計画を形にしたものです。
許可を受けたら、いよいよ入社です。
入社後には、社会保険などの一般的な労務手続きに加えて、外国人を雇用した事業主に求められる手続きがあります。たとえば、外国人雇用状況の届出は、外国人を雇い入れた際・離職した際に必要となる手続きです(参考:厚生労働省「外国人雇用状況の届出」について)。あわせて、生活の立ち上げ(住まい・銀行口座・行政手続きなど)を見据えたサポートも、安心して働き始めてもらううえで大切になります。
採用は、入社がゴールではありません。
長く活躍してもらうためには、入社後の定着支援が欠かせません。採用した在留資格によっては、受入れ機関として継続的な支援や定期・随時の届出などが求められる場合もあります。たとえば特定技能では、受入れ機関による支援(その全部または一部を登録支援機関に委託することも可能)が制度上求められます。在留期間の更新を見据えた管理も、早めに体制を整えておくと安心です。
外国人採用は、採用計画から定着支援まで、ひとつの流れとしてつながっています。
それぞれのステップは独立しているようでいて、最初の「採用計画」が後のすべての段階に影響していきます。だからこそ、全体像を早い段階で把握しておくことが、結果として無理のない採用につながります。
今後は、この流れの中でも特に多くのご質問をいただく「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」といった在留資格について、それぞれ詳しくご紹介していきます。
🧭 自社に合った進め方を整理したい方へ
外国人材紹介サービスでは、採用計画から在留資格の検討、受入れ後の支援まで、実務の視点で一貫してお手伝いしています。「自社の場合、何から始めればよいか」を確認したい方は、受け入れ可否のセルフチェックもあわせてご活用ください。