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2026.09.3011分で読めますvisa

育成就労とは?技能実習に代わる新制度をわかりやすく解説【2027年4月開始】

2027年4月に始まる育成就労制度。技能実習との違い、対象分野、日本語の要件、転籍のルール、技能実習生を受け入れている企業の経過措置まで、採用担当者向けに行政書士が解説します

育成就労とは?技能実習に代わる新制度をわかりやすく解説【2027年4月開始】

2027年(令和9年)4月1日、外国人材の受入れ制度が大きく変わります。30年以上続いてきた技能実習制度が発展的に解消され、新たに「育成就労」制度が始まります。

技能実習は「技能移転による国際貢献」を目的とする制度でした。これに対して育成就労は、人手不足分野における「人材の育成・確保」を正面から目的に掲げ、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育てることを想定しています。つまり、育成就労は特定技能へとつながる入口として設計された制度です。

施行はまだ先ですが、準備はすでに始まっています。監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から、育成就労計画の認定申請は同年9月1日から、施行日前の受付が始まっています。また、技能実習生を新たに受け入れられる期限も見えてきました。

このページでは、育成就労制度の目的から、技能実習との違い、対象分野、日本語の要件、転籍のルール、費用負担、そして現在技能実習生を受け入れている企業の経過措置までを、弊所が整理してご説明します。記載は2026年9月時点で公表されている情報に基づいており、一部の基準は今後示される予定です。

育成就労の「出口」にあたる特定技能については特定技能とは?で、採用全体の流れは外国人採用の流れで詳しく解説しています。


育成就労制度の目的と施行スケジュール


育成就労制度は、2024年(令和6年)6月21日に公布された改正法(令和6年法律第60号)によって創設されました。技能実習法は「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に改められ、一部の規定を除き2027年4月1日に施行されます(参考:育成就労制度の制度概要・関係法令)。

出入国在留管理庁は、制度の目的を次のように説明しています。

「育成就労産業分野において、我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保すること」(参考:育成就労制度の概要(令和8年7月改訂))

押さえておきたい日付は次のとおりです。

時期内容
2026年4月15日〜監理支援機関の許可について、施行日前申請の受付開始
2026年9月1日〜育成就労計画の認定について、施行日前申請の受付開始
2027年3月31日技能実習計画の認定申請の期限(経過措置の対象となる最終期限)
2027年4月1日育成就労制度の運用開始
2027年6月30日経過措置の対象となる技能実習の開始期限

(参考:育成就労制度Q&A、育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について)


技能実習と何が変わるのか


制度の目的が変わったことで、受入れのルールも大きく変わります。主な違いを整理すると次のとおりです。

項目技能実習育成就労
目的技能移転による国際貢献人手不足分野における人材の育成・確保
期間最長5年(1号・2号・3号)原則3年(一定の場合に最大1年延長)
対象分野職種・作業ごとに設定特定技能の分野と原則一致
本人の意向による転籍原則不可一定の要件のもとで可能
日本語入国時の要件なし(介護を除く)就労開始前にA1相当、3年間でA2相当を目標
送出機関への費用額の上限なし(保証金・違約金は禁止)月給の2か月分が上限
家族の帯同不可原則不可
修了後の道特定技能1号へ(2号良好修了で試験免除)特定技能1号へ(技能・日本語の試験合格が必要)

とくに実務への影響が大きいのは、転籍と特定技能への移行です。育成就労では、一定の要件を満たせば本人の意向で他社へ移ることができます。また、技能実習2号を良好に修了した場合のような試験免除はなく、特定技能1号へ移るには試験の合格が必要です。どちらも後ほど詳しくご説明します。


対象分野と受入れの仕組み


育成就労の対象となる分野(育成就労産業分野)は、特定技能の分野と原則一致させつつ、国内での育成になじまない分野は対象外とされています。出入国在留管理庁の資料によれば、令和8年7月時点で、特定技能の19分野のうち育成就労の設定がないのは自動車運送業と航空の2分野のみです(参考:育成就労制度の概要)。分野は今後も見直される可能性があるため、最新の一覧は同資料でご確認ください。

北海道の企業にとって関わりの深い農業、漁業、飲食料品製造業、宿泊、外食業、介護、建設、林業などは、いずれも対象分野に含まれています。なお、労働者派遣の形態での受入れは、特定技能・育成就労のいずれにおいても農業と漁業に限って認められています。

受入れには、企業が単独で行う「単独型」と、監理支援機関の支援を受ける「監理型」があります。いずれの場合も、育成就労外国人一人ひとりについて3年間の「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります(現在の外国人技能実習機構が、施行にあわせて名称を改めます)。

監理型で中心的な役割を担うのが監理支援機関です。雇用関係の成立のあっせんや、育成就労が適正に行われているかの監理を担います。監理支援機関は許可制で、許可基準は技能実習の監理団体より厳しくなりました。現在の監理団体も、育成就労で監理支援を行うには改めて監理支援機関の許可を受ける必要があります。取引のある監理団体が許可申請を予定しているか、早めに確認しておくと安心です。


日本語と技能:特定技能1号への道筋


育成就労では、日本語能力について段階的な目標が設けられています。

  • 就労開始前:日本語能力A1相当以上の試験に合格するか、認定日本語教育機関でA1相当の講習を100時間以上受講すること
  • 3年間を通じて:A2相当の日本語能力を修得し、試験に合格すること(分野によって求められる水準は異なります)

(参考:育成就労制度Q&A)

入国後には講習も必要です。日本語試験に合格していない場合は320時間以上、合格している場合は220時間以上が基本とされ、入国前に一定の講習を受けていれば入国後の時間が短縮されます。

3年間の育成を終えて特定技能1号へ移るには、技能の試験(技能検定3級等または特定技能1号評価試験)と、日本語の試験(A2相当以上。日本語能力試験N4等)の両方に合格することが要件となります。技能実習のように、良好な修了によって試験が免除される仕組みはありません。

なお、適正に育成を行っていたにもかかわらず目標の試験に合格できなかった場合や、病気・災害などやむを得ない事情で受験できなかった場合には、最大1年まで育成就労の期間を延長できる場合があります。

育成就労を「入口」、特定技能を「その先」と考えると、採用の段階から3年後の姿を見据えた育成計画を立てることが重要になります。特定技能の要件や支援義務については特定技能とは?をご覧ください。


転籍(本人の意向による転籍)のルール


育成就労で最も大きく変わる点のひとつが、転籍です。暴力やハラスメントなどやむを得ない事情がある場合の転籍は技能実習でも認められていましたが、本人の意向による転籍は原則として認められていませんでした。育成就労では、これが次のような要件のもとで可能になります(参考:育成就労制度Q&A)。

  • 同一の業務区分内であること
  • 転籍制限期間を経過していること:分野ごとに1年から2年の間で定められます。たとえば介護、建設、飲食料品製造業などは2年、宿泊、農業、漁業などは1年です。1年を超える期間が定められた分野でも、受入れ企業の判断で1年とすることができます。なお、1年を超える期間とする場合には、分野ごとに定められた待遇の向上措置を講じる必要があります
  • 技能と日本語の一定の水準を満たしていること
  • 民間の職業紹介事業者による職業紹介等を受けていないこと
  • 転籍先が「優良」と認められた受入れ企業であること

転籍先となる企業にも制限があります。本人の意向で転籍してきた人の数は、その企業の育成就労外国人全体の3分の1を超えてはなりません。さらに、大都市圏の企業が地方から受け入れる場合は、6分の1という上限も加わります。

また、転籍元の企業が受入れに要した初期費用については、転籍先が在籍期間に応じて一定額を負担する仕組みが設けられます。ただし、その基準となる金額を定める告示は、2026年9月時点ではまだ公表されていません。

受入れ企業にとっては、「採用すれば3年間は同じ職場で働いてもらえる」という前提が成り立たなくなる、ということでもあります。賃金や職場環境、日本語学習の支援などを通じて「選ばれ続ける職場」をつくることが、これまで以上に問われます。


費用負担のルール


育成就労では、外国人本人の費用負担を軽くするためのルールが設けられました。

  • 送出機関に支払う費用の上限:外国人が母国の送出機関に支払う費用は、月給の2か月分が上限です。これを超える費用は、受入れ企業または監理支援機関が負担することになります(参考:育成就労制度Q&A)
  • 日本語講習の費用:日本語能力の向上に必要な措置は、費用の負担を含めて、受入れ企業または監理支援機関が講じることとされています

このほか、送出国との間では二国間の取決め(協力覚書)の作成が順次進められています。最新の状況は外国人技能実習機構の二国間取決めのページでご確認いただけます。受入れにかかる費用は技能実習より増える可能性があるため、早めに見積もっておくことをおすすめします。


技能実習生を受け入れている企業の経過措置


現在技能実習生を受け入れている企業にとって、最も気になるのは「今の実習生はどうなるのか」という点だと思います。経過措置の要点は次のとおりです(参考:育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について)。

  • 2027年4月1日の時点で行っている技能実習は、施行後も引き続き行うことができます
  • 新たに受け入れる場合は、2027年3月31日までに技能実習計画の認定を申請し、2027年6月30日までに技能実習を開始する必要があります。これを過ぎると、新規の受入れは育成就労となります
  • 2号から3号への移行には、2027年4月1日の時点で技能実習2号の活動を1年以上行っていることが必要です。つまり、遅くとも2026年4月1日までに2号の活動を始めている必要があります(参考:技能実習3号移行リーフレット)

3号へ移行できない場合でも、要件を満たせば特定技能1号への移行を検討することができます。実習生ごとに状況が異なるため、在籍している方の在留期限と現在の段階を一覧にして、個別に確認しておくことをおすすめします。


今から準備しておきたいこと


施行まで約半年です。受入れを検討している企業には、次の準備をおすすめします。

  1. 経過措置の期限を確認する:技能実習での新規受入れを予定している場合は、2027年3月31日の認定申請期限から逆算して計画を立てます
  2. 監理支援機関の方針を確認する:取引のある監理団体が監理支援機関の許可を受ける予定か、早めに確認します
  3. 対象分野と業務区分を確認する:自社の業務が育成就労の対象分野・業務区分に当てはまるかを確認します
  4. 3年後を見据えた育成計画を考える:特定技能1号への移行に必要な技能・日本語の試験を見据えて、育成の道筋を描きます
  5. 費用と受入れ体制を見積もる:送出費用の上限や日本語講習の費用など、新たな負担を試算します

なお、優良な受入れ企業・監理支援機関の具体的な基準、本人の意向による転籍の具体的な手続き、転籍時の初期費用の基準額などは、今後示される予定です。制度の細部は施行までに更新される可能性がありますので、最新の情報は出入国在留管理庁および外国人技能実習機構でご確認ください。


おわりに


育成就労は、「育てて、定着してもらう」ことを前提にした制度です。転籍が認められることで企業にとっての緊張感は増しますが、裏を返せば、育成と職場づくりに力を入れる企業ほど人材が集まり、特定技能へとつながる長期的な戦力を得やすくなる制度ともいえます。

育成就労の先にある特定技能については特定技能とは?を、他の就労系在留資格との比較は特定技能と技人国の違いもあわせてご覧ください。

弊所では、在留資格の申請から外国人材の採用・受入れ体制づくりまで、一貫してご支援しています。技能実習からの移行や育成就労での受入れについてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

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